そっと来てね、こっそり見てね

はなぷぅのつれづれなるままダイアリー

シン・ゴジラ

わたしは初日に見にいった。

金曜日の夜だったが、会社帰りのサラリーマンと思われるおっさんばっかり。(自分が会社帰りのおばはんという視点は抜け落ちている)他に中学生くらいの男の子がお母さんと来ていたのと、エヴァ世代のカップル一組が見える範囲にすわっていた。

封切前にはほとんど情報がなく、ようやくシン・ゴジラの禍々しい顔がテレビのスポットCMで見られるようになったくらい。久々の国産ゴジラの映画というので、公開初日を待ちに待って映画館へ。

結果、よくできた映画だった。ビジュアルはわたし的には満点。ストーリーは大人向け。会議のシーンが延々と続く前半は、子供には辛いかもしれない。この会議のシーンが、とてもリアルで、ウルトラ警備隊ゴジラではなんと言う組織だっけ?)みたいな組織は出てこない。頼りとする武力は自衛隊と米軍だけである。しかも、自衛隊武力行使日米安保に基づく米軍との連携等、憲法や法律の条文が延々と論議される。

これは怪獣映画じゃない。

国の危機管理のあり方を問う、壮大な防災啓蒙映画。

とはいえ、ゴジラ映画。わたしはゴジラに会いにきたので、それが現れるのをまだかまだかと待つ。

まだ名もない未確認生物がようやく姿を見せたとき、思わずひぇっとなって声が出そうだった。なんというか生理的に怖い。(わたしは魚の顔が怖い・・・)

見慣れたゴジラの姿で現れてからも、これまでのゴジラとは違う。子供時代に見たお茶目なゴジラとはまったく別のものだった。そして、ゴジラが火を吐く。放射能を帯びた熱線を吐き出すシーンの絶望感。これまでになく徹底的で容赦ない破壊。日本が壊れていくあの日の記憶。2011年の東日本大震災

上陸して内陸に進むゴジラを俯瞰するカメラの映像は、津波が町を飲み込んでいく様子をリアルタイムで映し出すテレビの映像と同じ。

もともと初代のゴジラは核の破壊のメタファだった(と、わたしは思っている)。

まだ戦後の復興中の日本、広島や長崎に核爆弾が落とされてから10年しか経っていない中で、日本でつくられた「ゴジラ」という映画。破壊と再生の映画。

シン・ゴジラ」も大震災の破壊から復興しつつある日本を意識していないとはいえない。そして、今後も起こるかもしれない大災害に立ち向かうための何か。

「日本はいつもスクラップアンドビルドで立ち上がってきた」と、映画の中で誰かが言った。(多分、竹之内豊・・・)

希望の映画でもある。